種子の散布

さて、木も子孫を残すために、種をどこかに運ばねばなりません。自分の足元だけですと、自分と養分の取り合いになるばかりか、環境が同じなので下手をすると自分が苦労している病原菌や天敵などに子孫もやられるかもしれません。そこで、動けない自分にかわり、何かに種を運んでもらう必要があります。

風で飛ばしたり、自重で転がったりするほか、鳥または動物に散布してもらったりします。

風散布種子

風に乗って運ばれるためには、軽く、飛びやすい形をしていなければなりません。マツやヤナギ類がこれに当たります。これらは、としによって豊凶の差が少なく、数が多く、飛んでいった先で先住植物が倒れた環境で発芽して生きていけるような、たくましいタイプの樹種が多いようです。暗い林の中に落ちたとしても、休眠し、数十年たって周りの木が倒れころに発芽するものもあります。埋土種子とよばれます。

鳥散布種子

鳥が果実とともに種子を飲み込み、フンによって種子が散布されるものです。これはかなり遠隔地に運ばれますので、鳥散布で同一の樹種が林を形成するということはなく、ほかの木と混じって育っていくことになります。ナナカマド、ハリギリ、ホホノキ、ミズキ、モチノキ、クスノキなどがあります。クスノキは神社のわきの一角などにぽつりと生えていることが多く、何本も生い茂っていることはありませんね。

重力散布

風や鳥などに依存しないで、種自身の重みで落下して散布されるものです。いわゆるドングリがこの代表的な例です。歌にもあるように、ころころと転がって池にまで到達するなど、それなりの距離を行くことができます。そうはいっても、親の木から環境が変わるほどのところではなく、適度な日陰の林内に到達するようです。乾燥に弱く、日陰に強いドングリたちの戦略ですね。

被食型散布

一方でドングリを食料として貯蔵するため、あちこちに運んで地中に埋める動物たちもいます。ネズミ、リス、カケスなどです。埋められたもののうち、彼らが食べ忘れたものが発芽することがままあり、これは母樹から離れたところで発芽することができます。動物たちは豊富な栄養を得ることができ、ドングリの木は程よく散布される相互利益の関係が成り立っています。

付着型散布

動物散布には、上記の被食型散布のほか、動物の毛などについて運ばせる付着型散布があります。「ひっつきむし」というやつですね。
果実の表面に細かな鉤が密生して毛皮にくっつくヌスビトハギ、とげで覆われた表皮がマジックテープのように絡みつくオナモミ、水濡れすることで、ゼリー状のノリになるオオバコなどがあります。

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