森に親しみ、自然を理解しようとするなら、樹木の名前をいくつかでも知っておいたほうがよいでしょう。この木とあの木が仲間、これは近所には生えていない、などといくつかわかるだけでも目に映る景色に変化が出てきます。さて、無数に存在する木々をどうやって見分けていけばよいのでしょうか。
種、属、科とは
まずは分類レベルから。種(species)というのが基本になります。この個体群が大きいと、さらにいくつかの分類群、亜種、変種、品種などと区分されます。
その上に、属(Genus)といういくつかの種を集めたより高い段階の区分があります。
さらに、属の集まった区分が科(Section)です。これより上には、目(Order)、網(Class)、門、植物界となります。
見分けのポイント
さて、見分け方ですが、漠然と木を眺めてもわかるものは限られています。特徴的な部分をよく見てさわり、匂うなどしなければ近い種類のものは見分けられません。以下にいくつかポイントを挙げてみます。面倒な部分ではありますが、一度知っておくと、観察するべきポイントがわかります。
- 花の形と咲き方
- 葉の形とその分類
- 花、葉、枝のつき方
まず注目したいのは大きな特徴がでる部分は花や果実です。これら以外は、環境によって大きく変化してしまうことがあります。しかし、いつも花や果実がついているわけではありません。そこで、花や果実のほかに葉や、樹形、樹皮などの特徴を観察することで、より植物の名が身近になります。花はガク、花弁、おしべ、心皮を備えた完備花、桂、フサザクラのように花弁がないなどの不完備花に分かれます。
さらに、山桜のように、一つの花に雄しべと雌しべがあるものを雌雄同花と呼びます。両性花、完全花とも言います。別居しているのを雌雄異花といいます。大きなお世話でしょうが不完全花ともいいます。
花の形としては、ソメイヨシノのように、花弁がひらひらと一枚ずつ分かれているものは離弁花類、サツキやタンポポのように、花弁がおり合わさっているものは合弁科類として、基本的な区別点です。花の付き方では、葉の中央につく葉上花、熱帯に多い幹から直接花がつくものもあります。
針葉樹と広葉樹で、葉の形は大きく違いますが、イチョウのように、幅広の葉でも針葉樹に分類されることがあり、ヒノキは針葉樹ですが、鱗片葉という軟らかめの葉をもっています。通常、松ぼっくりのように、胚珠(種になる部分)がむき出しになっている裸子植物を針葉樹として分類します。細い、広いだけではなく、葉脈や葉の裏表、葉のふちはギザギザになっているかどうか(鋸歯)があるかどうかなども見分けのポイントになります。
さらに、花1つ、葉1枚の形だけではなく、その集まり、つき方によっても見分けをすることができます。
次項で詳しく述べます。